第26回GBJセミナー【LEED Talk】 YKK80ビル説明・見学会 [資料]

2016年7月29日（金）開催 &lt;募集時セミナー案内はこちら&gt; YKK80ビルはオフィスビルでは日本初のLEED-CS(Core and Shell：新築テナントビル部門)の最高ランクである「プラチナ認証」を取得されました。本セミナーではYKK80ビルの様々なグリーンビルとしての特徴、LEED-CS取得への取組みについてご説明頂き、YKK80ビルの見学をさせて頂きました。 第26回GBJセミナー 主題：第26回GBJセミナー【LEED Talk】 YKK80ビル説明・見学会 日時：2016年7月29日（金） 14:00～16:00 会場：YKK80ビル B1F 80ホール 講師：株式会社日建設計 中村晃子設計部長、YKK不動産株式会社 俣野隆取締役（当時） 参考： https://www.ykk.co.jp/japanese/corporate/g_news/2016/20160301.html http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldcolumn/15/00002/00010/?rt=nocnt 以下は会員のみに表示されています。 Q&amp;A 【全体会】 ＜見学前＞ (1-1) LEEDクレジットSSの中で駐輪場は従業員数に対して何％用意されたか？ ⇒ 駐輪場は全部で30台用意し、この部分のクレジットは取得した。加点には外部から来る来訪者も含めて建物利用者の5％以上の台数を確保する必要がある。 (1-2) 塗装の水性塗料とか低VOCの接着剤でのコストアップはあったか？ ⇒水性塗料、接着剤ともに設計で見込んでいた仕様のコスト内で見直しの対応ができた。 (1-3) MRのリサイクル材で、日本のメーカーから表示やリサイクルデータをもらえるか？どのようにして入手したか？ ⇒リサイクルコンテントデータをメーカーから書面で入手するのは難しい。鉄筋に関してはデータのあるカットシートをもらえ、認証レベル20％以上になったのでLEED申請ポイントが取れた。 (1-4) ＮＣでなく、なぜCSなのか？ ⇒YKK不動産としてはテナントにYKK株式会社、YKK AP株式会社、りそな銀行などが入るビルということなので、CSとした。 (1-5) 放射空調に微気流を加えた理由は？ ⇒放射空調空間におけるさらなる省エネ、さらなる快適性を目指し採用した。設計-施工-運用の各段階において検証を行い、設定温度を緩和し省エネを図っても快適性を向上させることが確認されている。 (1-6) LEED取得にあたり、色々評価項目の表があるが、稼げたところと稼げなかったところの理由を知りたい。 ⇒・加点項目： ・敷地について、秋葉原駅の地の利を生かすことができ、評価が高かった。 ・節水について、超節水大便器の採用(洗浄水量3.8L)、再生水利用(雨水、厨房排水)により評価が高かった。 ・エネルギーについて、省エネに関し評価が高かった。 ⇒・非加点項目： ・エネルギーについて、創エネの部分は太陽光発電パネルの設置面積に制約があり、大きな評価とならなかった。 ・節水について、再生水利用として、井水利用を行っているが、評価項目とはならなかった。 (1-7) 入居されたグループ外テナントに対して、どのようにして設計趣旨を理解頂いたか？ ⇒イニシャルコストが大きくなることに対し、それに見合うどのようなメリットがあるかを丁寧に説明差し上げた。節水に関しては超節水型大便器の採用、空気質に関してはMERV13フィルターを採用することが、イニシャルコストの大きな課題であった。LEED取得に関し、重要な項目であることをご理解頂くと共に、節水による水道料金の削減効果や、空気質向上による執務環境の向上(PM2.5対策等)についてご理解頂き、採用させて頂いた。 (1-8) 室外機置場の芋緑化の効果について、説明頂きたい。 ⇒室外機置場の芋緑化は住友商事と日建設計の共同開発したシステムである。室外機置場を覆うように芋の葉を繁茂させ、室外機置場の日蔭化、室外機吸込温度低下により、COP向上が可能となる。緑化によるヒートアイランド対策効果も期待できるところであるが、LEED上は多年草でないため加点対象外となった。 （見学後） (2-1) そもそもLEED C&amp;Sを取得しようとしたきっかけ、ハードルはどのようなものがあったか？ ⇒YKKグループは世界70の国と地域でグローバルに活動している。世界で使用されているLEEDを取得することが、環境活動のアピールに効果的と考えた。認証取得には、日本の規制にない厳しい審査基準があり、設計者、施工者の意欲的な協力がないと認証取得は難しい。 (2-2) 放射空調を入れるにあたり、いろいろ苦労があったのではないか、また、オーナーの立場からなぜ放射空調を取り入れたか？ ⇒日建設計より放射空調の提案を頂き、実際に運用されている建物(病院施設)を見学させて頂いた。冷房による不快なドラフトが小さく、患者さんの快適性が高いことが実感され、これはオフィスの知的生産性向上にもつながるものと直感した。 同時に、一般的な空気式空調に比較し省エネになる提案も頂き、省エネと快適性の両立を目指す本計画にふさわしい空調方式であると考え採用した。 また、放射空調の難しさ(結露に注意が必要となること等)について、設計-施工-運用段階で丁寧な検証を実施し、リスクとなる点についても情報共有させて頂いた。この検証は運用管理に大いに生かされていると考える。 (2-3) LEED認証にかかった期間が知りたい。 ⇒スケジュールは 目標設定：2012年2月、2012年5月から竣工後2016年まで(約4年位)。 （司会）LEED取得（申請など）のためのコストはUSGBCのHPを参照ください。 (2-4) 室内空気質に関し、どうした経緯でこの評価ポイントを重視したのか？ ⇒LEEDのために室内空気質を上げようとしたわけではない。放射空調やデシカント空調による温度湿度放射環境を整え、さらに空気も高い清浄度としたいという意図で導入した。 ・低VOCの採用とかで、例えば塗料とかの対応はどういった経緯なのか？ ⇒こちらについてもLEEDのクレジット取得が目的ではなく、ビルで働く全ての人の健康に配慮したいとの方針があったので、それにあった材料を調達し、結果としてLEEDのクレジットを取得することができた。 (2-5) 施工は鹿島ＪＶ，大林組、の2社であるが、LEEDのConstructionの認証で廃棄物に対して、2社毎に認証の書類を出したのか、どのように対応したのか？ ⇒大林組の分を出してもらい、鹿島JVが全体をとりまとめた。 (2-6) LEEDのオフィスビルの認証の傾向、今後も増えていくのか傾向を教えて欲しい。 ⇒過去の経緯を見ると、過去5年～10年位はずっと増えており、建設の市場では方向性は同様に伸びていくのではないかとみている。アメリカだけでなく世界各国で伸びている。日本の市場を見ても、過去5年前からだんだん増えてきている傾向にある。 （司会）日本での取得事例：約90、登録（審査中）が150件以上ある。これらの情報はGBJのHPにもあるので、参考にされると良い。 (2-7) BCPへの対応を聞きたい。地震、火災、停電などの対応は？ ⇒非常用発電機の電源を72時間分(100%で3日分)設置した。省エネ機器を採用したことで、非常用発電機容量はそれほど大きくない。手洗水、便所洗浄水も３日間分貯留されている。主要な熱源機器は、本敷地の水害リスクを想定したうえで、屋上に設置した。 以上