第38回GBJセミナー [資料]「スマートシティの現状と、未来、日本の強み」

 

2017年9月27日(水)開催 <募集時セミナー案内はこちら>

 

第38回GBJセミナー

主題:第38回GBJセミナー「スマートシティの現状と、未来、日本の強み」

日時:2017年9月27日(水) 18:30-20:00

会場:コクヨ株式会社 東京ショールーム5階スタジオ

 

今だから話せる第2弾!として スマートシティの創設からかかわり、国内外のスマートシティ関連のプロジェクト経験、知見が豊富な亜細亜大学 都市創造学部 教授 岡村久和氏にお話頂きました。

・アジアを中心にして起こっているビジネス、スマートシティ
・そのプレーヤーの思いと、現地とのギャップ
・日本企業の正しい姿勢と強み

 

 

 

資料 

資料の引用に際しては、GBJ事務局にご連絡をお願いします。

 

講師: 岡村 久和 氏(亜細亜大学 都市創造学部 教授)
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概要
質疑

 

 

 

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概要:

スマートシティをビジネスエリアとして捉えたお話を体系的かつ具体的に理解する事ができました。国内外で話題となってきた、スマートシティビジネスの、生い立ちから、ビジネス領域としての伸び(国、地域別累計市場)が示されました。2013年に3400兆円を越えているビジネス規模が現在約4000兆円に達していると言われているそうです。そのビジネスの場所はアジアに集中しており、そこに中国、ヨーロッパのプレイヤーが大規模なビジネスを展開しているそうです。

 

日本におけるスマートシティの生い立ちは、アメリカのIBMの影響が強く2003年頃に日本アイ・ビー・エムの内部で環境ビジネスが講演者によって立ち上げられた事に端を発しています。日本IBMでは2008年にはグリーンイノベーションとして、スマートシティの基になる事業組織が立ち上がりました。同時期に米国でも、米国IBMがスマ‐タープラネットの考え方が出てきました。その後、講演者は経済産業省にも働きかけ、経済産業省とIBMなどとがプロジェクトを始めました。当時はスマートグリッドに近い色合いを持っていました。
このプロジェクトがスマートコミュニティ四地区実証の前身です。

 

その後 、世界や また国内で「地球温暖化」に対する対応策として、継続的な貢献が出来るビジネスとして、拡大されて行きました。ビジネスではあまり一般的ではない 自治体など場所のあるビジネスプロジェクトとして、「スマートシティ」は進化して行きました。
ただ、「スマートティ」の定義は、各国で異なり、米国では、IBMを中心に、ハイテクITで支えられたまち、まちの向上が重要とされ、中国では、新幹線で接続された高層ビルの街、インドなど新興国では、先進国かそれ位以上の街、ヨーロッパなどの先進国では、より良い暮らしのより良い街など、地域により異なるとのことです。

 

一方、日本でのスマートシティの実状は、電力やエネルギーの送配電を中心にした、例えば、前述のスマートコミュニティ 4地区実証事業(横浜、北九州、豊田、けいはんな)などのように 「スマートグリッド」をフォーカスしたものと、もともと、COP3 京都議定書をきっかけにし、その後、内閣府の環境未来都市公募事業の総合特区公募事業のように、より都市や街づくりに視点を置いた 取り組みにに分かれるとのことです。 日本では、「スマートシティ」という言葉は、「スマートコミュニティ」、「地方創生」、「まちづくり」というように言葉が変わり、最近では 「スマートシティ」という言葉は ほとんど聞かれなくなりましたが、日本以外の世界では、「スマートシティ」という言葉は 本来の意味を持ち続け、ビジネス規模も拡大してきています。残念ながら、日本型ビジネスグループとしては ほとんど参画できていないようです。
日本が参画できている、世界の「スマートシティ」の例としては、建設会社や鉄道会社などのインフラ整備のプロジェクトの例はありますが、まだまだ数が少ないようです。
日本国内におけるスマートシティ視点では、オリンピックを睨んだ、都市計画・開発、公共安全、市民としての医療、社会保障などが重要になるということです。
また、国内の「スマートシティ」の例としては、柏の葉 スマートシティ、横浜スマートシティ(YSCP), 二子玉川ライズ、渋谷再開発、瀬戸内市日本最大の太陽光発電所などがあるとのことです。

 

他には、「オーストリアでの 電子政府ITの普及」、「エネルギーを取り巻くビジネスとIT」,「小型木質バイオマス発電プラントの例」、「分散エネルギー地域社会連携 中欧モデル」、「スマートシティの標準化: ISO37120」の紹介があり、最後に「スマートシティとしての大学ビジネス」として、アメリカ、イギリスでのスマートシティ関連の学部創設と、日本国内として、亜細亜大学でのスマートシティ関連の学部創設と学生のお話がありました。

 

今回のセミナーに参加されたGBJ会員および参加者より、「スマートシティ」に関して、その創設から、意味、変遷、今後のビジネスと日本、世界での動きが良く理解できたとの感想をいただきました。

 

講演の後も直接講師にコンタクトをし、いろいろ相談を始めている会員企業も複数あるそうです。

 

以上

 

 

 

Q&A

 

 

Q1.お話しの中にあった、ゴールを設定してうまく動いているというスマートシティの例はどこがあるのか?

 

ゴールを設定するということはROI(投資効果)を明確にすること。日本のスマートシティでは投資家がいない。参加者が自分でお金を使ってスマート化をしている状況である。海外は投資家を引っ張ってくる。日本の企業はコンサルと投資会社の間に入るのがうまくない。昔と違って発展途上国でも技術が向上し、日本の技術を欲している状況ではなくなってきている。そこが難しい所である。

 

Q2.・参入企業は9割以上が土木建築との話があったがIBMはなぜ引いたのか?
・ボッシュとか、シーメンスがまだスマートシティをやれている理由は?

 

一言で言えば、コングロマリットが作れるか否か。それが継続できているか、がキーである。昔の日本モデルでは日立、松下、NECなどインフラ系ではコングロマリットとしてうまくやっていた。今は違う。また、ヨーロッパの人は米国と違って担当社員が毎年変わらない。そのへんのこともうまく進めている一つの理由。

 

Q3.最初の4000兆円の話と最後の方の小型バイオマス発電の話があったが、どう関連するか?

 

スマートシティとはバラバラの定義である。中身は大きなものから小さなものまで多様である。小さいものでは限界集落での熱供給の話や、復興のための歩道橋だけ作ってスマートシティ(スロベニア)というものもある。中身は投資→ゴール→対価ビジネスであり根本は不変である。

 

Q4.質問ではないが、過去には、なんでも「スマート」と付いて、これらが日本として海外に打って出る大きなネタでありチャンスであると言っていた。本日のセミナーでそれが変わってきたことをよく理解できた。日本のスマートシティに対するやり方がうまくいかなかったことの理由を整理して頂いたように思う。今後、日本が海外に出ていくときにどのような取り組みが必要かを考えるよいきっかけを頂いたように思う。

 

初期のコンサルをやって、利益を得てすぐ引くやり方は米国が結構うまい。米国は西海岸の人は日本と一緒に東南アジアに来ることがあるが、基本的には国内に需要があるので、東南アジアではコンサル位に留める。東海岸の人はヨーロッパ、中東に強い。しかし、米国にはいわゆるゼネコンはないので、コンサルが主体となるようだ。

 

 

 

以上

 

 

 

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