Arcとは、エネルギー、水、廃棄物、交通、ヒューマンイクスピアリエンスという5つのKPI(キーパフォーマンスインディケーター:最重要指標)について世界中から収集するデータベースと行動パターンとの相対比較をした上で、パフォーマンススコアと呼ばれる100点満点での評価を行います。その評点はデータ入力をするたびに更新され、それに応じて再認証を受ける際の認証ランクも変わり、ダイナミックプラークと呼ばれるリアルタイムのデジタルサイネージに表示されます。
「現在の成績」を起点にして新たに設定する目標に向かう進捗を可視化し、達成度が高い項目と改善が必要な項目を関係者全員が共有できるように、システムが設計されています。Arcを利用することで、複数の関係者の間に横たわる、意思決定プロセスにおける複雑さやハードルを取り払い、物事をシンプルに推し進めることが可能になります。
USGBCとGBCIは過去20年にわたり、グリーンビルディングに関するデータを収集してきました。蓄積されたデータ量は世界に比類なきものといって良いでしょう。そして今、USGBCとGBCIはそのデータベースを基に、プロジェクトの運用パフォーマンスを継続的にモニタリングし、リアルタイムでの同種プロジェクトとの相対評価を提供し、時を追うごとに更新される必要のあるサステイナビリティー戦略の策定と目標の達成を助ける、Arcというプラットフォームを構築しました。Arcを運営する主体はGBCIが立ち上げたArc Skoru Inc.という組織で、あらゆるデータとサステイナビリティーを目指す行動をつなぐことで、QOLを高めていくためのプラットフォームを作ることされています。Arcは、現時点でLEED認証取得済みのプロジェクトとLEED on Lineへの登録を済ませて申請中のプロジェクトはもちろんのこと、まだLEED認証へのチャレンジを決めていないプロジェクトであっても、サステイナビリティーと人間の健康に係る性能を高めることを目指す全てのプロジェクトが利用できるシステムです。ここでいう全てのプロジェクトとは、オフィス、小売店舗、病院、集合住宅、スタジアム、高齢者介護施設、学校、教育施設、公共施設、ホテル、ショッピングモール、工場、物流施設など世界中にある多様な用途のビル、そして複数のビルが存在する街区、コミュニティー、BID(ビジネスインプルーブメントディストリクト)、シティー(自治体)を対象とするものです。
「新築」と「既存建物」、「新規開発」と「既存街区」という関係で見ると、LEED BD+C(新築版LEED)が運用開始後にLEED O+M(既存版LEED)を適用し、その後のRe-Certification(再認証)の手続きに入るのを助け、またLEED ND(街区開発版)取得済み街区、または既存の都市がLEEDコミュニティーやLEEDシティの認証を目指すのを助け、さらにはLEEDなどの認証をまだ取得していないプロジェクトが、LEEDやその他GBCIプロダクト(WELL、SITES、GRESBなど)の認証を取得するのを手助けするプラットフォームであるという言い方もできます。