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2020年12月18日(金）開催 第62回GBJセミナー パンデミック後の空調・換気対策はどうあるべきか～欧州・米国・日本の３学会提言を読み解く～ 2020年12月18日（金）オンライン開催 &lt;募集時セミナー案内はこちら&gt; 講 師 ：葛岡 典雄 GBJ技術顧問 インタビュアー：大村 紋子 GBJ共同代表理事、レンドリースジャパン 講師の音声付資料 目次 1. セミナー動画 (1:03:13) 2. ディスカッション動画 (11:15) 3. 第62回GBJセミナー資料（PDF） 4. Q&amp;A 今回は見そびれた方や途中からしか視聴できなかった方からの録画配信のご要望が多く、また内容の即時性も考慮しまして講師の承諾を得て会員外の方にも録画をお届けいたします。（期間限定1月末まで） 会員外の方で動画と当日のプレゼンテーション（PDF）をご覧になりたいかたは お支払いページから、セミナー参加費2,000円を選択・お支払いください。 閲覧用パスワードをお送りします。 会員に資料を公開しています。ログインしてご覧ください。 ここからは会員のみに表示されています。 1.セミナー 2.ディスカッション 3.第62回GBJセミナー（PDF） 4. Q&amp;A Q1. 日本のオフィスビルでも中小規模のものは個別空調で、空気の再循環は無く、各事務所の空気は全熱交換機を通して個別に換気しているため、原則他の事務所と空気が混在するリスクは無いと考えてよいでしょうか。 はい、そうです。（REHVAでは自然換気の併用を推奨） Q2. 個別空調のビルで、事務所内の空調のフィルターを高性能に交換する意味はあるでしょうか。ご意見を頂戴できればと思います。 同じオフィスの中に感染者がいると、同じオフィスの他の人には循環空気でまわる。よって、フィルターの意味はある。（出来ればMERV-13程度の中性能フィルターレベルを） Q3. LEED(ASHRAE)では10cfmと言っていますがこれは17m3/h程度だと思います。日本の30m3/hとの違いはどのように考えればいいでしょうか？ アメリカは何をみても、30m3/hや36m3/hより足りない。昔はもっと少なくて、シックビルの問題が出た。SHASE、REHVAに近い方が望ましいと考える。 ASHRAEの換気量基準がすくなめ、というお話について。ASHRAEの計算方法は一人当たりの要求量に加えて床面積あたりの要求量を加え、換気効率もかかってくる。また、室用途に応じて必要換気量が決まっているため、LEEDでASHRAEに基づいた換気量計算をすると、常にASHRAEの方が換気量が日本の基準を下回るわけではない。会議室、ダイニングスペースでは日本の基準では不足したりするし、EVホール、廊下などにも換気量入れないといけないので、いちがいにASHRAEの方が少ないとは言えない。 日本の基準ではエントランスホールなどには換気量基準がないのでLEED取得のために換気設備を加えるなど対処が必要な場合がある。一般に執務エリアにおいては、日本の方がASHRAEよりも厳しい。 Q4. 海外での相対湿度の規定はありませんか？ ある。REHVAではコロナウィルスの生存環境について湿度は関係ないとしているが、ASHRAEは人体側の耐ウイルスの面に着目して、人間の繊毛、免疫活性化のためには、湿度40％-60％が望ましいという研究成果を参考資料として提示している。スライドも参照してください。 Q5. 全外気運転を行うと省エネに反することになりますがドイツではどう対処しているのでしょうか？ ドイツでは全外気導入しているが、1.5～2回/hour、ダクトが小さい。日本やアメリカは大きなダクトで回数が多く、6回～。よって、導入する外気量自体は同じなので省エネに反するとは言えないのでは。 時間外の予冷運転時に外気ダンパーを閉じるなどの操作をドイツでは行っておらず、逆に時間外は外気を導入しているので、運用上の省エネ差が生じる可能性はある。 Q6. ダクトなどに設置するUV殺菌装置は、日本ではあまり見たことがないのですが、欧米では一般的なのでしょうか。 自分がいたころは、欧米でも見たことない。今は開発されたか、日本でも開発されているのではないか。すでにあるかもしれないし、開発途上かもしれない。 Q7. 外調機＋FCU（もしくはビル用マルチ室内機）にするか、AHU方式にするかは、負荷特性や必要外気量、排気量やエアバランスにより選定されてきたと認識していますが、今後、このあたりの方式選定を考え直さないといけないか、もしくはパンデミックのような事態を想定し、切替できるような方式（ダクトサイズをあげる、予備熱源容量をもたせる）にしないといけないか、ご意見をお聞かせください。 推察通りです。病院設計でも、外調機+ビルマルチが多くなってきている。再循環を行う場合も、よく考えないといけないだろう。（室内環境の向上、外気冷房の適用、等の配慮で全外気のダクトサイズを上げ運用で使分けを図ることはあり得るかもしれません。） Q8. 事務所などは、余剰排気を廊下やWCにパスし、WCなどでカスケード排気していると思いますが、このようなエアフローも改善すべきですか？ 病院、事務所でそうしているのは必然性があるからで、その原則は変わらないと思う。パンデミックス対策をとりつつも、省エネ、ZEB、室内環境の組み合わせをエンジニアがよく考えなければいけない。 Q9. RA（還気）に高性能フィルター設置推奨されているということは、ウィルスがとりつく可能性のある粉塵や非常に小さな液滴をキャッチする、という理解でよいですか。 そのとおりです。（再循環方式の場合にはフィルターをMERV13以上の仕様に交換可能にする配慮の必要性もあり得ると思います。） Q10. 日本では何故換気回数を多くしているのでしょうか？ 理論的には対人用の全外気換気量であれば、換気回数はもっと少なくて良い。（冷房の場合、外気量では全室内負荷の20~30W/m2程度しか処理できない！）循環空気量での冷暖房の室内熱負荷処理のためには、外気量の2~4倍程度の空調風量が必要となる。そのため換気回数を増やすという方式をとっている。全外気1.5～2回換気量で処理できる内部負荷量は20~30W/m2くらいだが、OA機器などが増えたために室内の負荷は現在70W/m2くらいに増えている。よって、内部負荷の処理のために空気の循環を増やしている。解決策として、個別FCUや個別空調をつけたり、空気を使わない輻射や対流などの選択肢もあるが、個別に建設コストと室内環境等の天井配管の禁止等諸条件でオーナおよび設計者等関係者が判断している。 Q11.アクティブチルドビーム（ACB）はブタペスト製です。日本製がない中で普及は厳しいかと思いますが、いかがでしょうか？ そのとおり、ACBはほとんどヨーロッパ製。ACBの設計者もあまりおらず輻射を使う場合の負荷計算も難しいので、ハードルが高いのは事実。それでも使っている建物もある。ビルマルチの進化や、新技術の開発、設備設計者の能力強化に期待。 Q12. 輻射空調について（近年日本でも採用事例が増えてますが、）湿度の高い日本の空気質では、冷房時結露の問題が解決しきれず、大規模に採用できないケースがおおいように思えます。スライドにあった「除湿対策」で有効なものはどんなシステムでしょうか？ 外調機の設計、除湿空調を10種類くらい並べて評価したことがあるが、熱源のCOPや廃熱利用等の諸条件によっても結果が違う。専門のメーカーもあります。ＬＣＣ的な考慮して総合的な判断が必要であろう。実際には、大きなビルでも輻射実例が出てきている。 Q13. 中性能から高性能フィルターへの交換により、ファンの増強投資が必要な場合が考えられますでしょうか。 現在のMERV13は中性能レベル。コロナウィルスのピークは処理できる。静圧350Paを確保できるのであれば、有効かもしれない。いろいろなフィルタにチェンジできるような空調機を作る選択肢もある。最初から準備をしておけば、可能。既存の設備での対応だと、難しい場合もある。（これから新築はそうなると思います。） Q14. ビル共用部分の換気については、自然換気も多いかと思いますが、大幅に改善する場合は、新たに設備投資を行う以外に方法はあるのでしょうか。 それなりの対応は必要だろうが、現状だと換気量を増やすしかないか。ダンパ100％の開度にする、窓を開けることは考えられる。 Q15. ビルの老朽化に伴い空調ダクトの密閉性に懸念が生じています。また高性能フィルターへの交換に伴い密閉性の重要性はやはり高いでしょうか。投資コストに影響が少なからずであると考えております。 日本のとくに昔のダクトは密閉性が良くない、5～10％リークしていると思われる。重要性は高いが、ビル全体を+圧にするような設計、ある程度（1割とか）+圧にする設計をすることで、外からの空気が入ってこないようにするのが重要ではないか。リークする量は当初から見込んで設計したほうがよい。ダクト施工にもオーナー要求事項として仕様にいれておくことが大事では。 外皮の気密性能は省エネにおいても重要になってきており、ダクトでの漏気も課題のひとつ。米国では、既存ビルの老朽化したダクトを交換せずに補修する、Aerosealという商品でダクトの密閉性を高めるという手法もある。日本でも適用した事例は不明。 Q16. アジアでは風を感じる空調を好む傾向もあると聞いています。輻射空調は省エネになると考えていますが、気候と風土を考慮すると輻射空調とFCUで風量を出すという空調設計も考えられると思いますが、いかがでしょうか？ 輻射空調と天井扇、局所的に風を使う機器をいれる設計は日本でもある。インドではインフォシスという輻射を多く設計している会社が、天井扇の組み合わせを一般的とする設計会社もある。日本でも、そのような設計をしている場合もある。好みに合わせてパーソナル風や天井扇を組合わせればよいのではないか。 Q17. ワンウェイ空調とかかけ流し空調とか呼ばれる、給気口と排気口の位置に配慮して部屋の空気をかき混ぜない空調についての提言は今のところないでしょうか。 本日あまり触れなかったが、室圧コントロールについては、ASHRAEではけっこう書かれていた。清浄から汚染方向に空気の流れを作る方法が書いてある。参考にしてほしい。 Q18. コロナ禍でオフィスというよりは、家にいる時間が長くなっていますが、家ではどのような換気方法が良いのか、行動で対応するのか、何かメカニカルで解決できるのかについて教えてください。 住宅の場合はポータブル加湿器、HEPAクラスのフィルターでないと意味ないとはきいているが、家は狭いので小さなものでも効果がある。湿度が人体の免疫に対して影響するので加湿器は個別に対応できる対策。病院でもポータブル加湿器、空気清浄器をフル稼働させているところもある。医者が必要性を知っていて行っているのではないか。家でも24時間換気は必要と考える。 ポータブルな機器w設置する場合、空気清浄機はフィルター付きとすること、加湿器の場合は定期的な清掃が大事ということなどがSHASEの提言にも書いてあるので参考になさってください。 ディスカッション ・高性能フィルター MERV13以上が効果ある、というのは新しい知見であった。 ・ASHRAEとREHVAを一読し、あらためてWELL、LEEDのパイロットクレジットを読んでみると、非常に重複しているということがわかった。WELL、LEEDの新たな要件の根拠はここにあったという合点がいった。 どこがWELLに影響しているか？ ・v2からだと思うが、デマンドコントロール換気をするときの、CO2設定値を900ppm（または外気+500ppm）、さらに2ポイント取ろうとすると750ppm（またはは外気+350ppm）とすることなど。CO2センサーを居住域に設置することなど