GRESBとは (1:39) 第53回GBJセミナーより
GRESB評価とその広がり
GRESBは、不動産セクターの会社・ファンド単位での環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測り、投資先の選定や投資先との対話に用いるためのツールとして、APGやPGGMなどの欧州の年金基金を中心に2009年に創設されました。2022年10月現在で、世界各国の170機関の機関投資家(日本は10機関)が投資家メンバーとして活用しています。
元々は「Global Real Estate Sustainability Benchmark(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)」の略でしたが、2016年に、インフラストラクチャーにも評価対象が拡がったため、GRESB(グレスビー、グレスブ)と略語で総称されるようになりました。リアルエステイト、インフラのともに、上場の会社/ファンドを対象として開示情報によって格付けされる「GRESB開示評価(GRESB Public Disclosure)」も実施されています。(図表1)
図表1 GRESB評価の種類
(出典: CSRデザイン環境投資顧問(株))
参加者
「GRESBリアルエステイト評価」への参加者は毎年増加しており、2022年には、グローバルで1820、日本で122となりました(図表1、2)。日本の内訳は、J-REITが多く57社で、その参加率は時価総額ベースでJ-REIT市場の99.3%に達しています(2022年10月時点)。近年は、特に、ディベロッパーや私募リート、私募ファンドなどからの新規参加が目立っています。
図表2 GRESBリアルエステイト評価への日本からの参加者数(2010~2022年)
(出典: CSRデザイン環境投資顧問(株))
GRESBの評価方法、スコア概要と評価項目
「GRESBリアルエステイト評価」では、総合スコアのグローバル順位によって格付(GRESB Rating)が与えられ、上位20%が「5スター」、次の20%が「4スター」などと呼ばれます。
また、「マネジメント・コンポーネント(MC:Management Component)」と「パフォーマンス・コンポーネント(PC:Performance Component)」(または新規開発・大規模改修の場合はPCの代わりに「ディベロップメント・コンポーネント(DC:Development Component)」)の2軸のスコアによってプロットされ、その両軸とも50%以上の好評価を得た参加者には「グリーンスター」の称号が与えられます。
日本参加者は毎年着実に平均スコアを上げ、2014年以降はグローバル平均よりも優位を維持しています(図表3)。
評価項目は、ESGに関する社内体制や方針の制定状況、ESG情報の開示状況をはじめ、気候変動リスク評価の実施状況、グリーンビル認証の取得実績、保有不動産物件を通した環境負荷削減への取組みやテナントとの環境・社会配慮の協働、従業員やテナント等への健康・快適性の取組み、サプライヤー・エンゲージメントなど、多岐に渡ります。
図表3 日本・グローバルのスコア分布(2022年)
(出典: CSRデザイン環境投資顧問(株))
参考
第66回セミナー[資料] ここまで進化したESG投資とGRESB:サスティナブル金融・不動産の最新動向を知ろう
第53回セミナー[資料] ESG投資とGRESB:サスティナブルなお金の流れを知ろう
第34回セミナー [資料]「不動産セクターのサステナビリティ指標『GRESB』と建築物」