第22回セミナー【LEED Talk】鹿島技研 LEED EBOM について[資料]

2016年3月1日(火)開催  募集時セミナー案内はこちら

 

鹿島技術研究所 本館は2015年8月にLEED EBOM プラチナ認証を取得されました。 本セミナーでは鹿島技術研究所 本館の建物概要(一部見学含む)とLEED取得に関する内容について紹介しました。

 

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第22回GBJセミナー LEED Talk

主題:第22回セミナー【LEED Talk】 鹿島技研 LEED EBOM について

日時:2016年3月1日(火)15:00~17:25

場所:鹿島技術研究所 本館 および実験棟の一部

 

内容:

15:00-16:00 鹿島技研 本館概要説明 本館LEED EBOM 取得についての説明

16:10-17:10 鹿島技術研究所 本館(実験棟を含む)の見学 屋上緑化、太陽光発電、ダクトレス空調システム、明るさ感評価に基づく照明、自然エネルギー利用冷暖房システム、見える化によるエネルギーマネジメントシステムなど

17:10-17:25  質疑応答

 

概要:

鹿島技研の概要と主な研究内容を紹介用ビデオなどで説明され、その中でも今回のLEED認証のベースとなる代表的技術が紹介されました。 次に本館LEED EBOM 取得について、2001年の建物運用開始以来、エネルギー効率化に努め、LEED O+M (v2009)における特徴、「エネルギー効率の最適化」については評価項目では満点を獲得し、持続可能な敷地(SS)、水の効率的利用(WE)、材料と資源(MR)、室内環境品質(IEQ)などでのそれぞれのクレディットの内容と特徴を説明されました。 本館 研究棟と実験棟の見学では、以下のような主な技術を具体的に見ることが出来ました。

 

参考:

鹿島技術研究所 本館の概要および主な技術は下記のホームページをご覧ください。

鹿島技術研究所 概要

鹿島技術研究所 本館イラストマップ

研究棟:① ダクトレス空調システム、②音環境、③、⑤、⑥次世代ワークプレイス、⑦エバクールガーデン(屋上緑化)、⑧明るさ感評価に基づく照明

実験棟:① 自然エネルギー利用冷暖房システム、④太陽エネルギー利用ソルエアヒートポインプシステム

LEED 取得(プレスリリース)

 

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Q&A

【全体会】

<見学前>

(1-1) 浦島さん:初回レビューから最終レビューまで、一般には1ヶ月~5週間とも言われているが、4ヶ月程度掛かったのはなぜか。

⇒ 最終レビューに出した後には、修正のチャンスは基本的にはなく、結果を受け取るしかなくなる。提出に関する時間制限は特になかったため、かなり慎重に準備を進め、当初予定と比べても長くなった。

 

<見学後>

(1-2) 大村さん:見える化のシステムで、2014年に比べ、2015年ではCO2排出量が1割近く上がっていたが、なぜか。

⇒ 暑さ・寒さといった気象的な問題と、満足度調査の結果への対応のために少しエネルギー効率を犠牲にしたことがあるのではないかと思う。

 

(1-3) 大村さん:LEEDクレジットのためにやってみたことで、今後も継続的に実施したいことなどはあるか。

⇒ まず、一緒に施設内を回って改善点などを議論することもあり、チームとしての一体感があった。 また、竣工後も、トイレの水洗流量や人感センサーの調整など、こまめに検討をすることで、さらなる省エネが期待できると思っている。 総務・経理グループと一緒に検討が進められたのも面白かった。プリンターのトナーやゴミ袋など、環境にやさしいものを選ぶようになってくれたという効果もあった。

 

(1-4) 高木:なぜNCではなく、EBOMを選んだのか。

⇒ LEED認証取得の検討開始時点で竣工後1年を経過していたため、EBOM取得を目指すことになった。

 

(1-5) 建物として、エネルギー消費量を何%下げようという目標はあるか。

⇒ 長期的には現状の51%ではなく、70%削減を目指している。毎年の目標は無い。

 

(1-6) EBOMの有効期限は5年とのことだが、再認証の予定はあるか。

⇒ 検討中としか申し上げられない段階。ただ、再認証もできるように建物の運用は続けていきたい。最も難しいのは喫煙室の部分かもしれない。現状、NCではalternative compliance pathが出来たが、EBOMには適用されない。

 

【見学中: 後方から見て左側グループ】

<研究棟-屋上>

(2-1) 植栽の植物の種類などは、どう選んでいるのか。

⇒ 蒸散の量などを測り、メンテナンス性、断熱性などを考えて選んでいる。土壌温度も計測している。また、直天井であるので、直下階では天井温度なども計測している。蒸発散ができることを基準にしているので、セダムなどはあまり使っていない。

 

(2-2) この程度の面積で屋上緑化のクレジットは取れるのか。

⇒ 面積としては、レクリエーションのためのデッキを除いた面積を分母に出来るため、緑化と太陽光発電パネルをあのように配置してもクレジットが取れた。(NCにもEBOMにも、レクリエーション用のエリアを分母から除けるというルールがある。)

 

<執務室-5階>

(2-3) 蛍光灯を使っているようだが、なぜLEDにしなかったのか。

⇒ 建設時には、まだLEDはこれほど普及していなかった。今後、LED化することは検討しており、一部、蛍光灯の代わりにLEDを実際に設置して、違和感がないかなど検討をしはじめている。

 

(2-4) 満足度調査の結果はどのように使われているか。

⇒ 毎年、満足度調査を行っており、その結果をもとに、例えば、空調・音響など、満足度を上げる取り組みを実施している。

 

<実験棟>

(2-5) 実験棟はLow-eガラスであるのに対し、研究棟はシングルガラスとの説明があったが、なぜシングルガラスを使ったのか。コストの問題か。

⇒ コストもあるが、「シングルガラスでも執務空間を快適にする方法」を検討したいという思いがあった。さらに、研究棟では、中間期は網戸を使った自然換気を促すなどの取組みもしている。

 

<実験棟>

1.ナレッジストリート。特になし

(2-6) 自然エネルギー利用冷暖房システム展示。 Q:冷媒の種類は?

⇒ 通常のヒートポンプと同様の冷媒であり、特殊ではない(具体的な組成には言及なし)

 

(2-7) ソルエアヒートポンプからの熱を放射空調用の冷温水に熱交換しているのか?

⇒ その通りです。

 

<研究棟>

(2-8)エバクールガーデン。Q:砂利(小石)の目的は?

⇒ 風散防止の為、土壌の押さえや周辺デザインに配慮している 2.研究エリアのコミュニケーションHUB。

 

(2-9) 最上階のスラブ断熱は?

⇒ 十分な断熱性を確保できている。

 

(2-10) 窓面からの冷気をFCUに吸込むには横幅が短いのでは?

⇒ 外壁との間に空間があり、問題なく吸い込める。

 

(2-11) 夏期の暖気対策は?

⇒ 外部の水平庇や垂直のハサードで遮光し、夏期においても問題ないが、ペリメータ側がワークプレースではなく、打合せスペースで利用している。

 

(2-12)パーティションの高さ種類はどのように決めたのか?

⇒ 利用者のアンケートも実施したが、平均値の採用ではなく、個室か協働かでメリハリをつけた。

 

(2-13) LED照明の検討は?

⇒ 建築時は普及していなかったが、一部、書棚を低くした箇所に天井ライトアップ用で使っている。 以上

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