2017年4月21日(金)開催 <募集時セミナー案内はこちら>
第34回GBJセミナー
4月21日にアズビル東京本社会議室にてGBJ初のGRESBに関するセミナーが開催されました。 今回の講師はCSRデザイン投資顧問の高木智子氏。 日本におけるGRESB普及にいち早く取り組まれてこられた同氏から、オランダ生まれのGRESBの成立、 創始者である年金基金の狙い、日本での参加企業の動向など、GRESBを取り巻く背景にも じっくり時間を割いた解説があり、スムーズな導入のあとGRESBの仕組みについて学びました。 GRESBが不動産向けの指標であるばかりでなく、省エネルギーコンサルタント、CSR報告書アドバイザーなど 多様な職能のグリーンビジネスの機会にもなることなど、広がりをうかがわせてくれる内容でした。
主題:第34回GBJセミナー「不動産セクターのサステナビリティ指標『GRESB』と建築物」
日時:2017年4月21日(金)18:30-20:00
会場: アズビル株式会社 本社会議室
講師:高木 智子氏 (CSRデザイン環境投資顧問株式会社)
講師の音声付資料 目次
資料:2017GRESBリアルエステイト評価 日本語調査票_(GBJセミナー用).pdf
1.
CSRデザイン環境投資顧問株式会社のご紹介、GBCIとGRESB、GRESBは不動産会社/ファンドレベルのESG指標、開示の例、GRESBの背景:投資家からの開示要望、GRESBはPRIの中心となった年金基金が創設、責任投資原則、PRI署名機関とGRESB、ESG情報開示の推進、「座礁資産」と「投資引き揚げ(divestment)」の動き、省エネルギー格付に関する各国の政策、国内投資家の動き: GPIF
2.
GRESBとは、GRESBは年次のオンライン調査、GRESBの投資家・銀行メンバー、GRESBの不動産会社・運用機関メンバー、GRESBパートナー/サポーター、GRESBパートナー・サービスプロバイダー、2016年GRESB – 参加者数、2016年GRESB - 地域別参加者数、2016年 日本市場からの参加者、GRESBの評価項目、評価方式① グリーンスター、評価方式② GRESBレーティング、GRESB 参加者スコア分布の推移、2016年 GRESB 日本参加者のスコア分布、2016年GRESB結果 分野別比較、GRESB評価に参加するメリット
3.
GRESBの評価項目、GRESB評価項目の詳細、省エネ・節水施策、省エネ診断等、省エネ診断等の技術的評価の有無、 グリーンビル認証、省エネルギー格付、グリーンビル認証(回答率)(日本・床面積カバー率)、省エネルギー格付(回答率)(床面積カバー率)
4.
グリーン・プレミアム&ブラウン・ディスカウント、環境性能の賃料への反映(海外)、環境性能の賃料への反映(海外)②~不動産会社からの発信事例、環境性能の賃料への反映(日本)、環境性能のキャップレートへの反映、GRESBとREITのリターンの相関、GRESBの拡がり、GRESB評価の枠組みの拡がり、ディベロッパー評価(2016年~)、健康と福祉モジュール(2016年~)、GRESB開示評価(2017年~)、まとめ
all.全編版 1-4
資料:2017GRESBリアルエステイト評価 日本語調査票_(GBJセミナー用).pdf
Q&A
Q1.全資産の中でdivestmentのインパクトは何%ぐらいか
パリ協定を受け、さらにfossil fuel divestmentは広がってきている様子。 何%かという数字ではないが、約700の機関投資家、約6万人の個人投資家によって、5兆ドル(約550兆円)が化石燃料関連企業からダイベストメントされたという2016年12月のレポートもある。
https://www.arabellaadvisors.com/wp-content/uploads/2016/12/Global_Divestment_Report_2016.pdf
Q2.GRESBに大手デベロッパーが参加しない理由は?
海外投資家が主な顧客ではないため、必要性を感じないこと、かなり重い内容 のデータが必要で、参加するためにはオフィス部門と住宅部門など、社内の足並みをそろえる必要がある。今後GPIFが不動産投資に本腰を入れるかもしれず、そうなると国内デベも対応を検討するかもしれない。その動きに期待したい。
Q3.LEED-NDやLEED for Citiesなどのような都市・自治体・街区レベルのエリア評価などのように、GRESBでも回遊性や結節点の数などの地域性を評価することはあるか?今後、そうなりそうな流れはあるか?
GRESBリアルエステイト評価は賃貸用不動産の所有者が対象になっており、なかなか面的な広がりまでは望めないため、質問項目には回遊性などは含まれておらず、今後についての議論でも話題に上っていないと思う。
Q4.GRESBの意味は?
Global Real Estate Sustainability Benchmarkが正式名称。最近は「リアルエステイト」からインフラなども含む「リアルアセット」に対象が広がってきているため、略したGRESBのみが使われるようになっている。
Q5.グリーンスターとGRESBレーティングの相関性は?グリーンスターでないが 5スターなどは起きる?
原理上、5スターでもグリーンスターで無いという事例はおき得るが実際には昨年は発生していない。グリーンスターは絶対評価(両軸とも50%以上の得点)、GRESBレーティングは相対評価で毎年変わる(総合点による順位で上位20%刻み)。
Q6.CASBEEでCランクだとしてもポイントに加算される?
第三者認証を受けていること自体が評価されるため、ポイント加算される。第三者性をもって建物の性能を可視化していることが評価されるので、ランクは問われない。LEEDのプラチナを取得してもシルバーと同ポイント。
Q7.GRESB開示評価は勝手格付けとのことだが、どのように行われるのか?対象企業はどこか?
上場の不動産会社・ファンドのみが対象。開示媒体のみを見て、各情報の開示の有無のみによって得点を付ける。
Q8.今後検討中のCRE評価はどのような形で進められる予定か?
CRE(コーポレート・リアルエステイト)であるので、不動産会社以外にも対象が広がる。GRESBの各評価への参加は無料であるのため、意欲的な企業が任意でCRE評価を受けることになるだろう。
Q9.日本では上場株式にはスチュワードシップコードがあり、一方で発行体側(株式を発行している企業側)にはガバナンスコードがある。こうした日本のコードは国際的にも評価が高い。GRESB評価は、投資家側の視点、すなわちスチュワードシップコードに相当するような視点のものだが、ファンド・J-REIT・上場会社などが従うべきガバナンスコード不動産版のようなものをGRESBが発行体や証券取引所などと一緒に作れば、両輪になるのではないか?そうした動きは無いか?そうすれば、デベロッパーも必然的にそちらを向いてくる。
なるほど、それは素晴らしいアイディアだと思う。少なくとも、日本ではまだそうした動きはない。
Q10.日本における環境不動産と経済的効果の分析はGRESBデータを使って行われているか?
環境不動産と経済的効果の分析は、CASBEEなどの評価・認証物件のデータを使って、JSBCなどで行われている。GRESBに関する経済性分析は、日本だけではまだデータの母数が小さいので分析は行っていないが、今後弊社でも是非取り組みたいと考えている。一緒に分析をしてくれる研究機関等のパートナーも探している。
以上